最初の店名「ポポ」は幻の果物ポポーから命名

福田恵子さん(73)

伊万里玉屋が開業した時に1期生として就職しましたが、その頃からずっと飲食店に興味があって、いつか自分のお店を開きたいと思っていました。結婚と同時に、主人に「店ば持ちたかー」と相談したら、「じゃあ、やってみようか」と賛成してくれました。二人の資金は100万円。銀行から150万円借りて、昭和45年に最初の店「ポポ」を開業。その時は、お腹に長女が入ってて、オープン後すぐに出産しました。当時は純喫茶が流行っていたので、1杯だてのコーヒーやピラフ、パフェなどを出していましたね。2年後から店の形態をレストランに変えてハンバーグを出すようになりました。そのメニューが今も一番人気の「ハンバーグ定食」です。
平成5年、二里町に移転して「ステーキサロン伊萬里亭」と店名を変えました。昭和の後半ぐらいから伊万里牛が世にでてきたので、うちも主力メニューに伊万里牛を取り入れて行ったんですよ。当時の店は家賃がすごく高く、家賃の支払いでいっぱいいっぱいでした。だからね、60歳になったのを機に、以前から購入していた大川内山の近くの家へ平成20年に移りました。古い昭和の家を、主人や娘達とアイデアを出し合い改装し、体力に合わせてランチタイムだけの営業に変えました。なにより大きく変わったのは、経営一切を私が担うようになったことです。

「ハンバーグ定食」は断トツ人気! 旅行客や特別なお食事には「伊万里牛」のオーダー多し

福田恵子さん(73)

やっぱりね、うちの看板メニューといえば、「ハンバーグ定食」ですよ。これは、始めた当時から変わっていません。このハンバーグは、伊万里牛じゃなくて、国産牛豚の合いびき肉を使っています。肉の味をあじわってもらいたいから、味付けもいたってシンプル。うちはステーキとハンバーグは同じソースで、どちらにも合うソースを研究しました。初めの頃は、主人になんでも教わっていましたが、今ではレシピを私なりにアレンジしています。ハンバーグ定食につけている小鉢やスープは、地元の野菜を中心に使ったもので、店のそばにある畑で主人がつくってくれた野菜も入っています。小鉢のおからは、呉豆腐をつくった時に出たおからでつくっています。今日はね、主人が菜の花を摘んできてくれたから、さっと茹でて小鉢の一品にしました。旬の味を大切にしたいから、スープの味も季節によって変えています。かぼちゃやニンジン、じゃがいもとか、その時期に出回っている野菜を使っています。
ハンバーグの次に人気なのは、「伊万里牛ステーキ定食」ね。コロナの影響で、最近は旅行のお客様が来られずステーキの注文も減りました。正直、苦しいけれど、地元のお客様が送別会や何か人をもてなす時に注文してくれるので、なんとか頑張っています。

「名前は残していきたい。でもね…。 とにかく飲食の免許更新したからあと6年はがんばるよ!!」

福田恵子さん(73)

実はね、2月に飲食店営業許可の更新申請をして、知事の認可をもらったのよ。だから、あと6年は続けられます(笑) 後継者の話は、うちの長女ともよく話し合っています。本当は長女が後を継いでくれたらいいのですが、遠くにいるもので…。それでも、店のHPとか、大川内山の陶器市がある繁忙期には、泊りがけで手伝いにきてくれます。長女は客商売に向いているんですけど、佐賀を離れる前に、「あんたが継がんばいかんとよ」とは言えませんでした。自由にさせたかったし…。こればっかりはしょうがないです。
血縁じゃなくても、誰か「伊萬里亭」という名前を継いでくれる人がいないかなと考えたこともあります。うちの味を継いでやってみたいっていう人いるかしら? 料理をする人って、自分の味を完成させたくなるでしょう? だから味については、そこまで細かいところまでは考えていません。お客様に味のことを聞かれたらレシピ教えてます。ハンバーグもソースも全部! うちの従業員さんなんて、私の仕込みを見て、自分の家でつくってますよ(笑)
とにかく、あと6年。出産の時以外は入院したことない丈夫な体です。膝は痛くなったけど、ヒアルロン酸打ちながら、元気に頑張りますよ。

住所:伊万里市大川内町丙390-2
電話:0955-22-3953
営業時間:11:00~15:00 [14:30 L.O]
休み:火曜日
駐車場:あり