新しいものを生み出す創意工夫を原動力に、つないできた人との縁

山﨑 秀幸さん

昭和の終わり頃、佐賀に本格的なショットバーがまだなく、自分で立ち上げようと思ったことが開業のきっかけです。高校時代よりカフェでのアルバイトを経験し、コーヒーやお酒への興味が尽きず、24歳でこの世界に入りました。福岡のバーテンダー専科に通うなど、本格的に学び始め、県外に出ることも考えましたが、ご縁があり地元で独立することを決意したのです。
1988(昭和63)年5月、私が29歳の時、白山ビルにオープン。開店までのステップは一つの物語になるほどの出来事があり、それまで出会った方々の手助けあっての実現でした。
お客様とお酒を学べる交流会を企画し資料を作ったり、と通常の営業以外にも活動。「佐賀バーテンダーズクラブ(SBC)」を立ち上げ、周りのスナックやカフェ・バー関係者など、同業者との勉強会を主催、1991(平成3)年、日本バーテンダー協会佐賀支部発足にも携わりました。
1999(平成11)年、佐賀市の繁華街にあるビルから路地裏に移転し、私の理想を叶えるべく一軒家を改装。オーセンティックバーの雰囲気は変わらず、現在に至ります。

流行にとらわれず、基本に忠実に。酒の文化と歴史を伝えることも一つの使命

山﨑 秀幸さん

最近は、生の果実を使ったフレッシュなカクテルが人気ですが、当店ではスタンダードカクテル(900円〜)もおすすめしています。それぞれのカクテルやベースとなるお酒には歴史やエピソードがあり、スタンダードなものをしっかりと伝えることも当店の役目。絶やすことなく、提供していきたいです。
また、同時にウイスキー(シングル/30ml 900円〜)への注目も高まっています。私は1996(平成8年)、「スコッチモルトウイスキーファンクラブ」を立ち上げ、 シングルモルトウイスキーの楽しみ方を共有してきました。蒸溜所や樽ごとの味や香りの違いなど、知れば知るほど奥深い魅力があります。希少な銘柄も取り扱っており、シングルモルトウイスキーは約800本の品揃え。中には手に入りにくいものもご用意しています。
新しい取り組みとしては、佐賀市諸富町の「楠乃花蒸溜所」で作るクラフトジンの開発に協力。味の監修からラベルのデザインまで広く携わりました。バーテンダーとしてのリアルな意見を反映させた商品として2020年に発売され、当店でも味わっていただけます。

伝統のスタイルを変えずに33年。世代を超えてつながる楽しみも

山﨑 秀幸さん

佐賀では流行らないと言われたオーセンティックバーを開業し33年。お客様へ目を配れる空間を大切にしながら営業を続けてきました。少しでもバーの魅力を感じていただけるように心がけ、初めてのお客様にも一言添えています。また、今では佐賀の地元について、さまざまなお話もします。素材一つひとつを見ても、佐賀にはいいもの魅力がたくさん。「都会に行かなくても、 いいものがあるよ」とできる限り伝えていきたいですね。当店の未来についてはさまざまな可能性を考えています。昔のお客様の二代目、三代目にもご来店いただくようにもなり、長年営業していくことの醍醐味を感じている日々です。

住所:佐賀市白山2-5-24
電話:0952-22-3961
営業時間:18:30~24:00
休み:日曜
駐車場:なし