3年を1年に見立ててコツコツと

横尾寛(77)

私たち夫婦が中央本町でお店をオープンしたのは1989(平成元)年4月8日のことでした。自分たちの店を持とうと一念発起しての立ち上げでした。
当初はまだ呉服元町アーケードが存在していた時代。店の周辺は今と違って賑やかで、若い方からご年配まで多くのお客様が来店してくださったものです。
初めての飲食店経営ということもあり、試行錯誤を繰り返す毎日。課題がやってきてはクリアするという日々で、あっという間に30年が過ぎた印象です。
思えば平成の世は佐賀市中心部が衰退する時代でもありました。閑散とする町並みを見守りながら、カウンター席にテーブル2卓と小さいながらも、「お客様とのふれあいを大切にするお店」をモットーとしてきました。
心がけてきたのは、飲食業を3年単位で捉えてきたこと。3年経ってようやく調理や接客などのコツが見えてくる。3年をひと区切りとして次のステージへ進むというサイクルを繰り返してきました。3年を1年と見立てると、まだ10年。今でも日々勉強させてもらっています。

当初から変わらぬメニュー

横尾寛(77)

開店時から「ぎょうざ店」の看板にこだわり、「焼ぎょうざ」(500円)「水ぎょうざ」(500円)「四川流辛口ぎょうざ 紅油水餃」(650円)の3点をメインメニューとして維持してきました。
具材は時間をかけて開発し当店独自の形が出来上がりました。また味付けは時代と共に改良してきました。例えば「四川流辛口ぎょうざ」は、当初は本場中国の味を研究しながら開発したメニューですが、お客様の声に耳を傾けながら自分なりのアレンジを加えていき、今の味に落ち着きました。

お客様に喜んでいただくお店に

横尾寛(77)

お客様に励まされながら、夫婦で力を合わせてお店を維持することができました。私はすでに70代後半になりましたが、体が続く限り厨房に立ち続けたいと思っています。
常連さんもいらっしゃるものの、30年以上経営しているとお客様はどんどん入れ替わります。しかし客層に大きな変化はないのはありがたいこと。お店のスタンスを守り続け、変わらぬメニューを提供し続けた成果だと考えています。
若い人に私の長年の経験を伝えたいとの思いはあります。ぎょうざの奥深さはもちろん、お店を経営することの厳しさ、面白さを教えたい。大切なことは、ぎょうざ作りの基本を身につけながら、時代に合わせて味に磨きをかけ続けること。お客様にお喜びいただくお店を作り上げるのは遠く長い道のりですが、勇気をもって挑戦する人を応援したいですね。

住所:佐賀市中央本町8-1
電話:0952-25-1803
営業時間:14:30~21:00
休み:木曜
駐車場:なし