外国航路・客船調理員を20年経験して開業、上質な味と空間を提供する店に

倉岡正夫さん(77)

有明海を望む太良町で育ち、子どもの頃から料理好きだった私は、19歳で大阪商船に入社し、外国航路の調理員として、ニューヨーク、豪州、南米航路に乗船。その後、三井客船に移籍した後は日本丸、ふじ丸、新さくら丸などに乗船しました。「ゆくゆくは自分の店を持ちたい」と思っていた私は、船員卒業後、1983(昭和58)年に当店をオープンし、今年で39年目になります。
「お酒を楽しまれるお客様に肉料理を」と私がこだわりをもって提供する「ローストビーフ」(1,320円)は、これまでも取材を頂く度 に、予約の電話をたくさん頂き、当店にはなくてはならないメニューになりました。
「上質」の味と「成熟」を愉しめる当店には、常連客からの紹介で来店頂く方に加えて、最近ではホームページやSNSを見て来店される方もおられますいらっしゃいます。スタッフととも に空間作りを徹底していて、アルバイトで入る学生さんは「厳しいけど賄いを頂く時の家族的な雰囲気なの良さ」で4年間続ける人も多く、社会人になって改めて来店してもらった時には嬉しい気持ちになります。

A-5等級から選び抜き丁寧に焼いた「ここでしか味わえない」ローストビーフ

倉岡正夫さん(77)

当店は、佐賀牛をはじめ、宮崎県や鹿児島県産などから、霜降り具合、色の艶、肉のしまり具合やキメの細かさ、脂肪の色や質などからランク付けした最高級のA-5等級の佐賀牛をはじめ、宮崎県や鹿児島県産などの中から、さらに私が選び抜いた牛ロースを仕入れています。この肉の目利きを「くらおか牛」と呼ぶ方もおられますいらっしゃいます。「お客様に『美味しい』と喜んでもらいたい」と、良い肉を仕入れる努力を日々惜しみません。
こうして私が目利きして選んだ佐賀牛A5等級の牛ロースを丁寧に焼き上げた「ローストビーフ」(1,320円)を。余熱で脂が溶け出さないようすぐに冷やし、柚子胡椒入り特製酢味噌だれで提供しています。脂が「じわっ」とほどけていく感覚に「まるでアイスクリームのような舌触り」と表現する方もいらっしゃりや、「ここでしか味わえない」とローストビーフを目当てに来店する客もお客様も多いです。「人がやらないことをやる」をモットーとした私が届ける当店の至極の一品です。
コースのシメとして提供する「すき焼き」「牛しゃぶ」「豚しゃぶ」といった鍋料理でも、厳選した肉の旨味を堪能することができます。「すき焼き」の秘伝の割り下は、濃厚でありながらさっぱりしていて「売って欲しい」と言って下さる方もいらっしゃいます。

厳しく食に向き合う姿勢と心意気を継いでくれる人を求めている

倉岡正夫さん(77)

現在は、妻とスタッフと共に営業を続けています。県外在住で企業に勤めている会社勤めをしている息子が帰省するたびに後継の話題をするが 、現時点ではなかなか難しいと考えているのですが、います。常連客からは「ローストビーフを絶やさないで」という声が多く、「くらおか亭」の存続を望む声も頂いています。私は今後も体力が続く限り厨房に立ち続けるつもりだですが、次の時代にこの店を繋ぐためにも、私が積み上げてきた肉の目利きや焼く技術を受け継いでくれる人を求めています。
料理の知識や技術を身につけるのはもちろん大事ですが、食材を納めてくださる皆さんとの信頼関係を築くのにには時間がかかると思っているいます。最高級の肉を届けてもらうためには「これならマスターのお眼鏡にかなう」と肉屋さんに思ってもらうため 、厳しく食に向き合う姿勢が本当に大事で、この心意気を継いでくれる人がいたら、と考えています。

住所:佐賀市駅前中央1-2-3
電話:0952-22-2087
営業時間:17:30〜22:30
休み:日曜・祝日
駐車場:あり(2台)